2025-12-17
「VERTICAL PRO」スポーツクライミングの現在地
今回は、 ヨーロッパ最大のクライミング展示会「VERTICAL PRO」 に行って目にした事や感じた事を自分目線で書いてみようと思う。

まずverticalproがどんなものかというと、 スポーツクライミングを中心に、ホールドメーカーをはじめ、 クライミングウォールの設計や安全器具、高所作業・レスキュー関係まで幅広く、ジム運営者やルートセッター、 登る側というより、つくる側・支える側の人たちがその最前線を見に世界中から集まってくる展示会である。
展示されているのは、最新のホールドやボリューム、ウォールパーツ、安全器具など多岐にわたり 、会場内ではトークショーや体験ブースがあちこちで同時進行。 ピザやコーヒー、ビールを片手にブースを回る人たちの姿も多く、 展示会というより、業界のお祭りに近い空気感だ。
実際にギアを触ったり試したりできる体験型ブースも多く、 「見るだけ」では終わらない構成になっている。 今の業界の流行や方向性が一気に見える場所でもあり、言ってしまえば、今のクライミングの現在地そのもの。



会場に入ってまず感じたことは 来場者の多さと、各メーカーのブースづくりの本気度。
巨大ボリュームを主役にしたレイアウト、 ブランドカラーで空間ごと染め上げたブース。 ジムさながらの壁を建てた大型展示、 ただ製品を並べるだけじゃなく、 「どう見せたいか」「どう触ってほしいか」まで計算され、歩いているだけで、 「あ、今はこういう形や質感が主流なんだな」 というのも自然と伝わってくる。



















シューズやアパレルの展示は少なめで、 会場の主役はやはりホールドメーカー。 流線的で気持ちの良さそうなホールド、 壁に付けた瞬間に主役になる巨大ボリューム。 形がきれいでラインを作りやすそうなホールドも多く、実際に触ると質感はかなり良い。
一方で、 知らないブランドも多々あったが、どのメーカーも方向性が近く、 ホールド同士が少しずつ似てきている印象も否めない。






今回のverticalproを通して感じたのは、 完成度は高いが、もう一歩攻めたメーカーがあってもいいかなと。 展示されているホールドは全体的に少し似通ったラインナップで、流行がはっきり見える分、 「これは誰も真似できない」という 突き抜けた存在が少なかったのは少し物足りない。



それでも、 今のスポーツクライミング業界がどこに立っているのかを、 これほど分かりやすく体感できる場所はなかなかない。 来年はより革新的なブランドが登場することを期待したい。
