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2026-01-23

「誤魔化さず、がむしゃらに」 通谷 律が語る、独自のスタイルと岩への情熱

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今、日本のクライミング界でひときわ異彩を放つ若手クライマー通谷 律。圧倒的な「馬力」と、瞬発的な爆発力。その裏側にあるのは、ちょっとユニークなルーツとクライミングへのピュアな想いだ。2月のレッドロックス遠征を目前に控えた彼に、その原点を聞いた。(2026年1月16日 収録)


幼稚園から始まった「遊び」の延長線

ーーまずは自己紹介から。

佐賀県出身、2006年生まれの19歳です。

「強くなる環境」にいたいと思って関東に出てきました。

今は楢崎智亜さんと野口啓代さんの壁で登らせてもらいながら、関東の岩場をいろいろ回っています。

ーークライミングを始めたきっかけは?

父親と父の友達が遊びでやっていて、5歳か6歳の幼稚園の頃に弟と一緒に連れて行かれたのが最初です。

場所もいわゆる「クライミングジム」ではなくて、筋トレジムの中にある小さなクライミングエリアのような場所でした。

ーー最初からハマった感じ?

そうですね。

子どもが遊具で遊ぶ感覚というか、ジャングルジムや木登りの延長のような感じで、自然と楽しく登っていました。

クライミング始めたての通谷。この頃は遊びの延長

ーーその後もずっと続けて?

小学生くらいからは、地元の多久高校にある壁で登り始めました。そこは公共の場のような感じで年齢制限もなかったので、高校生になるまでずっとそこで登っていましたね。

ーーコンペに出始めたのは?コンペでの成績はどうだった?

小学校2年生くらいからです。

いきなりすごかったという感じでは全然なかったですね。体も小さかったので、女子選手や体の大きい選手に負けることも多かったです。

順位が悪かったわけではないけど、飛び抜けていたわけでもない、という時期が長かったですね。

初めての品川ロッキー

「ヒールフックは禁止?」独自のスタイルを作った父の教え

ーー律といえば、瞬発的な「ギュン!」という引きの強さが印象的。あのスタイルはどう身についたの?

昔から小さいホールドしかない環境で、とにかくがむしゃらに持って引いて登っていた、というのが大きいと思います。今でも「がむしゃらに登ること」は大事にしていますが、それが人からは馬力があるように見えるのかもしれません。

ーー実はお父さんの教育も独特だったとか。

そうなんです。親が「ダサい登り」を嫌っていて(笑)。

マッチしたり、ヒールフックを使って楽に解決したりするのを、「ごまかすな、ダサいぞ」って制限されてて。あまりやらせてもらえませんでした。

ーー「誤魔化さず、真っ向勝負しろ」と。

「誤魔化すな!」と言われて育ちました。そのおかげで今のスタイルがあるんですけど、その分、今でもヒールは苦手ですし、誤魔化すのも下手ですね(笑)。


「本音は岩だけでいい。それでもコンペに向き合う理由」

ーー現在はコンペと岩場を両立しているけど、そのバランスはどう考えている?

岩がメインなのは変わらないです。ただ、コンペは「やらないといけないもの」という感覚。結果を出さないとスポンサーもつかないし、応援もしてもらえない。

正直、できるなら岩だけやりたいです。

ーー普段のトレーニングや、1週間のサイクルはどうしているの?

基本は「2日登って1日レスト、また2日登って1日レスト」というサイクルがベースです。指の皮が裂けたり出血したりしなければ、登る日はもうギリギリまで、かなり追い込んで登りますね。

ーー筋トレなどはあまりしない?

トレーニングはほぼ「登ること」だけです。筋トレはあまりしないですね。遊びでやる程度ですが、アップの時に「デッドリフトどれくらい上がる?」とみんなで競ったりすることはあります。以前、デッドリフトではないですが、220kgくらいを背中で上げるやつをやりました(笑)。

ーーちなみにクライミング以外で好きなことってある?

最近、趣味が欲しいんですよね。正直、クライミングが終わった後のやることなさがすごくて(笑)。今年は動画編集をちょっと頑張りたいなと思ってます。休みの日に自分のクライミング動画を編集したり。

寝ても覚めても頭の中はクライミング一色

次なる舞台、レッドロックスへ

ーー2月からはアメリカ・レッドロックス遠征。なぜここを選んだの?

直感です。本当にそれだけですね。

狙っているのは『Return of the Sleepwalker(V17)』と『Shaolin(V17)』です。

ーー狙っている課題への見通しはどう?

ムーブの内容的に得意なのはリターンだと思います。ただ、核心の距離感が未知なので、そこが大丈夫だったら……という感じですね。

ーー今回の遠征は、精神面でも大きな変化があるとか。

はい。

正直、前回のバーデンの時はずっとレプリカをやっていて、現地でムーブを探るという過程がほとんどなかったんです。期間も短かったですし、ただ「登らなきゃいけない」というプレッシャーだけが強くなって、精神的に追い詰められてしまいました。

ーーその経験が、今のメンタルに繋がっている?

はい。バーデンで苦しんだからこそ、今回は「楽しみだな」という感覚が強いんです。

もし登れなかったとしても、ムーブを組み立てる過程そのものを楽しみたい。

そして課題を探りながら自分にアジャストして積み上げていって、最終的に完登したい。

今はプレッシャーを感じるのではなく、純粋に楽しんでこようと思っています。

ーー最後に一言。

頑張るしかないかな!楽しんできます!!!!!


【インタビューを終えて】 「ダサい登り禁止」というストイックな環境が生んだ、唯一無二のダイナミックなスタイル。19歳の若武者、通谷律がアメリカの地で、自らのムーブをどう積み上げ、どんな答えを見つけるのか。その挑戦の結末が今から待ち遠しい。

ひとまず見たことある人も、無い人も「Return of the Sleepwalker(V17)」,「Shaolin(V17)」のFA動画で予習だ!!!

岡本圭太
ライター
岡本 圭太(オカケイ)
株式会社船橋ロッキー取締役 / クライミング歴20年,Freakbrothers登りたい
岡本圭太
ライター
岡本 圭太(オカケイ)
株式会社船橋ロッキー取締役/クライミング歴20年,Freakbrothers登りたい
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